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​プロローグ

​井上蘭さんのストーリー

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​Lan Inoue

現在は、イタリアンレストランで働く傍ら、コーチングやお茶のPR活動、地域文化コーディネーターなど、様々な活動を積極的に行う蘭さん。そんな蘭さんの思い描く『叶えたい未来』はどんなものか_
今回は「架空のホテル」という設定で、蘭さんの想いの1つである「お茶」をテーマに、蘭さんの描きたい世界観を共に形にしていきます。

 

 

​はじめに

高知県高岡郡に現在お住いの井上蘭さん。ここは、『お茶』というものが、地域の暮らしにすっと溶け込み、人に寄り添い、当たり前の心地よさとして、地域で愛され続けています。

 

 

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好奇心の種

蘭さんは高知県室戸市出身。そんな蘭さんが「お茶」に興味を持ったきっかけは、結婚を機に、旦那さんの故郷、お茶どころの仁淀川町を訪れた時のこと。「結婚しました」のご挨拶時、「これ、うちのお茶。飲んでみて」とそっと手渡されたお茶。その家で作られた『我が家の味』をおすそ分け頂いたのです。


 

また、当時の勤め先では読書支援員として、学校や保育園に赴くことも多かった蘭さん。あちこちと赴く先で、出して頂くお茶はどれも美味しいものばかり。爽やかな香りと、その美味しさに心が動かされたのです。自然からの恵みを元に、人の手や想いが加わり出来上がる「お茶」は、もはや言葉の無いコミュニケーションツールの様に、人と人をつなぐ役割を果たしていました。

そんなお茶の魅力を、その土地に伝わる文化を、自分ができる事から、丁寧に楽しく伝えていきたい。そう蘭さんは思い始めました。そして、その後のご縁で、地元の土佐茶をPRする土佐茶女子会に在籍し、お茶の勉強会や情報発信を通して、土佐茶の魅力を伝えていく活動を始めたのです。

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​何気ない一言が、想像もしない展開へ

数年前のこと。毎年恒例になった旦那さんのご実家近くにある氏神様へお参りに行く途中。険しい山間に青々と広がる美しい茶畑が目に飛び込んできました。偶然にも、通りがかりにその茶畑の持ち主である72歳のおじいちゃんと出会いました。「茶畑、綺麗ですね」蘭さんのその一言から、立ち話が始まったのです。

 


おじいちゃんの目はほとんど見えない状態で、今まで茶畑を管理してきたものの、刈り込みなどの機材を使った作業は難しくなっていました。それでも「勘」とわずかに見える視界を頼りに、大切な茶畑を子供のように育ててきたそうです。何度か他の方に管理をお願いしてみるも、上手くいかず、そこに現れたのが蘭さんでした。純粋な蘭さんのお茶への好奇心や想い、笑顔で丁寧に話を聞く姿が、茶畑を大事に育ててきたおじいちゃんにとっては、よっぽど嬉しかったのではないでしょうか。翌年は、蘭さんのお子さん達にお年玉を用意して、蘭さん家族の訪問を待って下さるようになったのです。

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お茶で繋がれたご縁

「お茶好きだったら、やったらええよ」
 


そんな軽やかな提案で、その72歳のおじいちゃんから、なんと茶畑を譲り受ける事となった蘭さん。おじいちゃんから管理の仕方、育て方などを学びながら、自宅の高岡郡超知町から片道車で30分程の茶畑に通うようになったのです。

 

 

現在はそこそこの広さのある茶畑を、蘭さんのご家族で毎年2回刈り込み、新芽の季節には茶摘みを行うも、なかなかご自身の家族だけでは管理が行き届かない事もあり、目の不自由なおじいちゃんが草むしりをしてくれたりと、日々、細々と手を入れてくださっているそうです。

 

蘭さん家族が無理なく自由に、できる範囲で手入れをする様子に口出しすることなく、暖かく見守りながら、おじいちゃんもご自分ができる範囲でサポートしてくださる。お互いの立場を尊重しながら、やりたい人が、出来るタイミングで、出来ることを。そんな無理のない心地の良い関係性だからこそ、そこから生まれてくる新しい可能性や出会いがあります。

 

 

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​良いものは、みんなで共有したい。

現在は、親戚や職場で、お茶に興味のある人たちを茶摘みに招いたり、お茶の天ぷらや自宅用のお茶づくりを周りのみんなでワイワイ楽しみながら、ご自身の日常の延長線上で、その時々関われる人たちと、緩やかに茶畑を楽しんでいます。

 

更には「茶畑」や「お茶」を接点にアーティストや料理家、子育て中の親御さん達など、様々な面白い視点を持つ方々とのつながりの輪が広がり、交流が深まってきています。なんとも暖かく、豊かなご縁。

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未来を妄想する
「専門家ではないからこそ」の魅力をカタチに。

「お茶をきっかけに、地域の生活や暮らしの文化を残し続ける活動を大切にしたい」そう語る蘭さん。『お茶』を特別なものと考えず、お茶が初めてという人とも「美味しいね」と共感で繋がれたり、お茶の専門家には「教えてください!」と学びを請う形で繋がれたり。昔からおじいちゃんっ子だった蘭さんは、地域の年配の方々とも良い関係を育んでいます。いろんな熱量や深さで『お茶』と『人』と関わりながら、偶然頂いた『茶畑』を更なるご縁に、丁寧に、蘭んさんらしく広げています。

「おいしい」を振る舞いながら、ご縁を繋げる自分で在りたい。お茶を通して、地域の暮らしや文化を継承する活動をしながら、誰もが安心して自己表現を楽しめる場所を作りたい
 

 

そう語る蘭さん。「好きだったら、やったらええよ」そう言って、機会を与えてくれたおじいちゃんの様に、今度は蘭さんが、「やりたいことは、どんな形からでも、いつからでも、どうぞ」それを周りの人にもそっと手渡せる場所なのかもしれません。その暖かく頼もしい世界観を、蘭さんと一緒に妄想全開で形にしていきます。

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妄想を可視化して、現実に_


Original Story by Lan Inoue
 

Curated by Kaori Ando
架空のホテル企画室

 


 

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